両忘禅庵では禅堂に併設された和室に、
あの難行苦行に励む釈迦苦行像が置か
れています。
その日の坐禅会参加者が氏名を書く
参加者簿の前に置かれています。
以前、お寺に関係のある画家の方から
寄贈されたものと聞きました。
近くで見るとすごい迫力ですね。
以前、鎌倉の建長寺に(複製と聞きまし
たが)この苦行像が置かれているのを見
たことがあります。
山林に籠って6年間にわたり坐禅と断食
の過酷な修行に取り組んだそうです。
そうした生死の境を彷徨うくらいの激し
い修行をした結果、ただ苦行だけでは意
味がない。どちらにも偏らない考え
(中道)が大切と気づき、以降弟子たち
にこの教えを説いたと本に書いている
ものを読んだことがあります。
今のところ両忘禅庵坐禅会参加者は全員
在家で、修行僧のような激しい修行に打
ち込む環境に身を置いていません。
極限まで追い込むような厳しい修行はし
ていません。
(坐禅参加者に参加理由を聞いたことは
ありませんが。)
そうした修行僧のような修行には打ち
こめないけれども、日常生活の中で、耐
えられないこと、辛いこと、逃げたくな
ることにも向き合うべく、きっとこの
坐禅会に通って来ているのではないか
なと。感じています。
(勝手にですが。)
まだまだ禅の何たるかもよく掴めていな
い通い始めて6年目の参加者ですが、
何かこのシャカ苦行像のような
「苦しむこと」
「もがくこと」なくして、その先に
「今までに見たこともない新しい世界」
が開けて来ることはない。こんなこと
を最近ぼんやりと考えています。
悟りとかそんな大きなものでもなく
とも、自分の心の中に安心、平穏、
優しさ、感謝
こんなものがいつか芽生えてくれば
嬉しいですね。
この掛け軸のような気持ちが。
そうなるように。このシャカ苦行像は
我々を見守ってくれているのかも知れ
ません。